Amazonタイムセールに出すかどうかは、「セール価格で1個売れたときの利益」と「参加費や広告費を取り返すのに必要な販売数」を比べて決めます。手数料と割引を引いても1個あたりの利益が残り、見込みの販売数で参加費と広告費を回収できるなら、採算は合う見込みです。回収できない場合は、セール後に自然検索(広告ではない通常の検索結果)での売上が伸びるかどうかまで含めて判断します。
この記事では、計算に使う数字の集め方、損益分岐(利益がちょうどゼロになる点)の出し方、セール後の確かめ方を順番に説明します。

Amazonタイムセールの手数料と採算は「1個あたりの利益」から見る
タイムセールの採算でつまずく人の多くは、売上の大きさだけを見ています。
セール中は注文が増えます。ですが、割引と手数料で利益がほとんど残っていないこともあります。
そこで、まずは次の順番で考えます。
- セール価格で1個売れたら、いくら手元に残るか
- 参加費と追加の広告費を、何個売れば取り返せるか
- その個数は、在庫と過去の売れ方から見て現実的か
この3つに答えられれば、出すか出さないかを数字で決められます。
なお、タイムセールの参加費の金額や、対象になる条件は変わることがあります。参加費の有無や金額は、セラーセントラルのヘルプで確かめてください。
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計算の前に集める数字と、確かめる画面
損益分岐を出すには、次の数字を手元にそろえます。
- 仕入れ値(原価):商品1個を用意するのにかかったお金です。自社の仕入れ記録で確かめます。
- 販売手数料:売れたときにAmazonに払うお金です。カテゴリーによって条件が違うので、セラーセントラルのヘルプで確かめてください。
- 配送にかかる費用:FBA(Amazonに保管と発送を任せる仕組み)を使う場合はその料金、自社発送なら送料と梱包材の費用です。
- セール価格:セラーセントラルの「広告」メニューにあるセールの作成画面で、設定できる価格の条件を確かめます。
- 参加費:セールの作成画面か、セラーセントラルのヘルプで確かめます。
- 普段の販売数:「レポート」メニューのビジネスレポートで、商品ごとの注文数を見ます。
ここで大事なのは、販売手数料が価格に連動する点です。割引すると手数料も変わります。通常価格のときの手数料をそのまま使わず、セール価格で計算し直してください。
また、クーポンやポイントを同じ時期に付けていると、割引が重なることがあります。セール前に、その商品に付いている販促の設定をすべて見直しておきます。
損益分岐の出し方(3つのステップ)
数字がそろったら、計算は3つのステップで進めます。表計算ソフトに1行ずつ書き出すと、あとで見直しやすくなります。
STEP 1:セール中の1個あたり利益を出す
セール価格から、原価・販売手数料・配送にかかる費用を引きます。
残った金額が、セール中に1個売れたときの利益です。
この時点でゼロ以下なら、たくさん売れるほど損が広がります。この場合は、割引の幅を小さくできないかを先に考えます。
STEP 2:参加費と広告費を取り返す個数を出す
参加費と、セールのために増やす広告費を足します。
その合計を、STEP 1で出した1個あたり利益で割ります。
出てきた個数が、損益分岐になる販売数です。これ以上売れれば、セールは黒字になります。
STEP 3:「セールがなくても売れていた分」を差し引く
ここは中級者でも見落としがちです。
セール期間中に売れた商品の中には、セールがなくても通常価格で売れていた分が含まれます。その分は、本来もっと高い利益で売れていたはずです。
ビジネスレポートで、セールと同じ長さの普段の期間に何個売れていたかを見ます。その個数については、通常価格との利益の差が「値下げで減った利益」になります。
この減った分も参加費と同じように足してから、STEP 2の計算をし直すと、より実際に近い判断ができます。

広告費の見込み方と、止めるタイミング
タイムセール中は、スポンサー広告(検索結果などに出す広告)を強める店も多いです。ただし、広告費は採算を大きく左右します。
見込みを立てるときは、次の手順で進めます。
- 広告の管理画面で、その商品の普段の広告費と、広告経由の注文数を確かめる
- セール中に広告費をどこまで増やすか、上限を先に決める
- その上限をSTEP 2の計算に入れて、損益分岐の個数を出し直す
上限を決めずに始めると、セール中に予算を何度も上げてしまいがちです。
セール中は、広告の管理画面で広告費と注文数をこまめに見ます。広告費に対して注文が伸びていないなら、入札額を下げるか、その広告を止めることも考えます。
セールそのものの表示で売れているなら、広告を強めなくても注文が入ることがあります。広告を増やすかどうかは、過去のセールで広告の有無による差を見てから決めると安心です。
セール後の自然検索への影響を確かめる
セールで販売数が増えると、その後の自然検索での表示が良くなることがある、と言われます。
ただし、Amazonは検索順位の決め方を細かく公開していません。セールに出せば順位が上がる、と決めつけないことが大切です。
そのため、自分の商品で実際に確かめます。
見るべき数字
- セッション数:商品ページが見られた回数です。ビジネスレポートで確かめます。
- ユニットセッション率:ページを見た人のうち、買った人の割合です。同じくビジネスレポートで見られます。
- 広告を除いた注文数:全体の注文数から、広告の管理画面で見える広告経由の注文数を引いて考えます。
ブランド登録をしている場合は、検索語ごとの表示や購入の数字が見られる画面もあります。使えるかどうかはセラーセントラルで確かめてください。
確かめる手順
- セール前、セール中、セール後の同じ長さの期間を決める
- それぞれの期間で、上の数字を書き出す
- 主な検索語でAmazonを検索し、自分の商品が何番目くらいに出るかをメモする(同じ端末、ログインしない状態で見ると比べやすいです)
- セール前とセール後を比べ、広告以外の注文が増えたかを見る
セール後に自然検索の注文が伸びていれば、その分の利益も含めて「出してよかったか」を判断できます。伸びていなければ、次回は損益分岐を満たすかどうかだけで判断するのが無難です。

よくある失敗と、その防ぎ方
- 通常価格の手数料で計算してしまう:手数料は価格に連動します。セール価格で計算し直します。
- 割引が重なっていた:クーポンやポイントが残ったままだと、思った以上に値下がりします。セール前に販促の設定をすべて見直します。
- 在庫が途中で切れる:在庫切れは、セール後の売れ方にも響くことがあります。損益分岐の個数と、セール後も売る分を足して在庫を用意します。
- 広告費の上限を決めていない:始める前に上限を決め、計算に入れておきます。
- セール後に振り返らない:次の判断材料がなくなります。終わったらその週のうちに数字を書き出します。
- 値下げを繰り返す:頻繁に大きく値下げすると、お客様が通常価格では買わなくなることがあります。セールに出す間隔も考えておきます。
よくある質問
1個あたりの利益がほとんど残らなくても、出す意味はありますか?
新商品でレビューや販売実績を増やしたいときなど、目的がはっきりしていれば出す意味はあります。その場合も、どこまでの赤字なら受け入れるかを先に決めておくと、判断がぶれません。
セールの参加費はどこで確かめればよいですか?
セラーセントラルのセール作成画面と、ヘルプで確かめてください。条件や金額は変わることがあるので、申し込みのたびに見直すと安心です。
セール後に自然検索が伸びたかは、どれくらい待てばわかりますか?
商品やカテゴリーによって違います。セール前と同じ長さの期間をセール後にも取り、ビジネスレポートで比べるのがわかりやすい方法です。
まとめ
Amazonタイムセールの採算は、売上の大きさではなく、1個あたりの利益と損益分岐の個数で判断します。
押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 販売手数料はセール価格で計算し直す
- 参加費と広告費の合計を、1個あたり利益で割って損益分岐の個数を出す
- セールがなくても売れていた分の利益の減りも考える
- 自然検索への影響は決めつけず、セール前後の数字で確かめる
今日からやること
- セールに出したい商品を1つ選び、原価・手数料・配送費を書き出す
- ビジネスレポートで、普段の販売数とセッション数を確かめる
- セラーセントラルのヘルプで、参加費と条件を確かめる
- 損益分岐の個数を出し、在庫と見比べる
一度計算の形を作っておけば、次のセールからは数字を入れ替えるだけで判断できます。


