副業の物販で出た利益の住民税は、確定申告書の「住民税の徴収方法」の欄で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、給与とは別に自分で納める形にできる場合があります。
ただし、選べるのは給与や年金以外の所得の分だけです。住んでいる市区町村の扱いによっては希望どおりにならないこともあります。
そのため「チェックを入れたから会社に知られない」とは言い切れません。最終的には、住んでいる市区町村の住民税の担当窓口や税務署、税理士に確かめる前提で進めてください。
この記事では、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・TikTok Shop・メルカリなどで副業として物販をしている人に向けて、次の点を整理します。
- 確定申告書の住民税の欄の意味
- 普通徴収を選べない場合
- 申告のときと申告後に確かめること

副業物販の住民税は普通徴収にできる?会社に知られる仕組み
まず、住民税の納め方には大きく2つあります。
- 特別徴収:会社が毎月の給与から住民税を差し引いて、代わりに納める方法です。
- 普通徴収:自宅に届く納付書などを使って、自分で納める方法です。
会社員の住民税は、ふつうは特別徴収です。市区町村は、その年の住民税の額を計算して、会社に「この人の給与からこの額を差し引いてください」という通知を送ります。
副業の物販で利益が出ると、その分も住民税の計算に入ります。特別徴収のままだと、副業の分も合わせた額が会社に通知されます。
すると担当者が「給与の割に住民税が多い」と気づくことがあります。これが、副業が会社に知られるきっかけの1つと言われる理由です。
普通徴収を選ぶと、副業の所得にかかる住民税は自宅に届く納付書で納める形になります。会社に通知される額は、給与の分が中心になると考えられています。
ただし、これは市区町村の扱いしだいです。また、会社に知られるきっかけは住民税だけではありません。この点は後の見出しで整理します。
そもそも、副業をしてよいかどうかは会社ごとに決まりが違います。住民税の納め方を考える前に、勤め先の就業規則を確かめてください。届け出や許可が必要な会社もあります。
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確定申告書の「住民税の徴収方法」欄の意味
確定申告書の第二表には、住民税や事業税について書く欄があります。その中に、給与や年金以外の所得にかかる住民税をどう納めるかを選ぶところがあります。
選べるのは次の2つです。
- 特別徴収:給与から差し引いてもらう
- 自分で納付:普通徴収にする
この欄が対象にしている所得
この欄の対象は「給与・公的年金等以外の所得」です。副業の物販の利益は、事業所得(商売としての所得)か雑所得(それ以外のこまごまとした所得)として申告することが多いです。どちらも給与以外の所得にあたります。
つまり、物販の利益にかかる住民税を自分で納めたいときに使う欄です。
事業所得と雑所得のどちらになるかは、取引の規模や続け方などで判断が分かれます。迷うときは税務署か税理士に確かめてください。
パソコンやスマホで申告するときの場所
国税庁の作成コーナーで申告書を作る場合、所得や控除を入れ終えたあとに、住民税などについて入力する画面が出てきます。そこに徴収方法を選ぶ項目があります。
紙で書く場合は、第二表の下のほうにある住民税の欄を見てください。
画面の名前や並び順は年によって変わることがあります。見つからないときは、国税庁の案内や税務署で確かめてください。
何も選ばないとどうなるか
どちらも選ばずに出すと、給与から差し引く扱いになることが多いと言われています。
「選ばなければ自分で納める形になる」と思い込むのは危険です。自分で納めたい場合は、はっきり選んでください。
普通徴収を選べない・希望どおりにならない場合
「自分で納付」を選んでも、すべての住民税が普通徴収になるわけではありません。よくある場面を整理します。
副業がアルバイトなどの給与のとき
物販とは別に、ほかの会社でアルバイトをして給与をもらっている場合、その給与の分は「給与以外の所得」ではありません。
この欄で普通徴収を選んでも、給与の分は本業の会社でまとめて差し引かれる扱いになることが多いです。ほかの会社の給与の扱いは市区町村ごとに対応が違うことがあるので、窓口で確かめてください。
市区町村の扱いで特別徴収になるとき
市区町村によっては、給与所得のある人の住民税を、できるだけまとめて特別徴収にする方針をとっている場合があります。
この場合、申告書で希望を書いても、そのとおりにならないことがあります。住んでいる市区町村の住民税の担当窓口に「給与以外の所得の分を普通徴収にできるか」を聞いておくと安心です。
物販が赤字のとき
物販が赤字で、それを給与と差し引きする場合(損益通算といいます)、住民税の額は給与だけのときより少なくなることがあります。
この場合、普通徴収にする副業の分の税額がそもそも出ません。会社に届く税額が給与の割に少なく見える、ということも考えられます。
赤字を差し引きできるかどうかは、所得の種類によって変わります。雑所得の赤字は給与と差し引きできないとされています。判断は税務署か税理士に確かめてください。
確定申告が要らず、住民税の申告だけをするとき
副業の利益が少なく、確定申告をしなくてよい場合でも、住民税の申告は別に必要なことがあります。
この場合は確定申告書ではなく、市区町村の住民税の申告書を出します。納め方の希望の書き方も市区町村ごとに違います。窓口や市区町村の案内で確かめてください。
申告のときに普通徴収を選ぶ手順
ここからは、申告書を作る日に手を動かす順番です。
STEP 1:勤め先の就業規則を確かめる
社内の規程集や、人事・総務の案内で、副業についての決まりを読みます。
届け出が必要と書かれていれば、先に手続きをしてください。住民税の納め方で隠すことを考えるより、規則に沿って進めるほうが、あとで困りにくいです。
STEP 2:物販の所得の種類を決める
各モールの売上の記録や、仕入れ・送料・手数料の記録をそろえます。
売上の数字は、楽天市場ならRMS、AmazonならセラーセントラルのレポートやAmazonのヘルプ、Yahoo!ショッピングならストアクリエイターPro、Shopifyなら管理画面、TikTok Shopならセラーセンター、メルカリならメルカリのガイドやメルカリShopsの管理画面で確かめてください。
そのうえで、事業所得か雑所得かを決めます。迷う場合は税務署か税理士に相談します。
STEP 3:申告書の住民税の欄で「自分で納付」を選ぶ
作成画面なら、住民税などを入力する画面で、給与以外の所得の徴収方法を「自分で納付」にします。紙なら、第二表の該当する欄に印を付けます。
STEP 4:出す前に控えで確かめる
提出の前に、印刷の画面やPDFの控えで第二表を開きます。「自分で納付」に印が付いているかを、自分の目で確かめます。
入力の途中で画面を戻ったり、データを読み込み直したりすると、選んだ内容が消えることがあります。最後に見直してください。
STEP 5:控えを保存する
出したあとの控えは、紙でもデータでも保存しておきます。あとで市区町村に問い合わせるとき、どちらを選んだかを伝える材料になります。
申告後に確かめること
申告書を出したら終わり、ではありません。住民税は、確定申告の内容をもとに市区町村が計算します。結果が出るまで少し間があります。
住民税の担当窓口に問い合わせる
心配な場合は、申告後に住んでいる市区町村の住民税の担当窓口に電話をします。次のように聞くと話が早いです。
- 確定申告で、給与以外の所得の住民税を「自分で納付」にしたこと
- その希望どおり、普通徴収で計算される予定か
- 給与の分と分けて扱ってもらえるか
本人確認のため、氏名や住所、生年月日などを聞かれることがあります。申告書の控えを手元に置いてかけてください。
自宅に届く書類を確かめる
例年、春から初夏にかけて、住民税の通知が届きます。普通徴収の分があれば、自宅に納税通知書や納付書が届くのがふつうです。
届いたら、次の点を見ます。
- 自宅宛てに、普通徴収の分の通知が来ているか
- 納める期限がいつか
- 納め方(窓口、口座振替、スマホ決済など)として何が使えるか
会社から受け取る通知も見る
会社を通して、給与から差し引く住民税の通知が本人にも渡されることがあります。
その額が、給与だけのときと比べて大きく増えているように見える場合は、副業の分が合算されている可能性があります。すぐに市区町村の窓口に相談してください。
会社にはすでに通知が届いている場合もあります。早めに動くほど、対応の余地が残りやすいです。
よくある失敗
副業の住民税で、ありがちな失敗をまとめます。
- 欄を選び忘れる:何も選ばずに出して、給与から差し引く扱いになってしまう。
- 入力し直しで選択が消える:データを読み込み直したあと、住民税の欄を見直さない。
- アルバイトの給与も普通徴収になると思い込む:給与の分はこの欄の対象ではない。
- 住民税の申告を忘れる:確定申告が要らないからと、市区町村への住民税の申告もしない。
- 納付書を放っておく:自分で納める形にしたのに期限を過ぎてしまい、督促が届く。
- 住民税だけ気にする:同僚への話、SNSでの発信、社会保険の手続きなど、ほかのきっかけで知られることを見落とす。
- 就業規則を読まずに始める:納め方を工夫しても、規則に反していれば問題になることがある。
とくに納付書の放置には気をつけてください。自分で納める形にしたら、期限の管理も自分の仕事になります。届いたらすぐにカレンダーに期限を書き込んでおくと安心です。
よくある質問
普通徴収を選べば、副業は会社に知られませんか?
知られにくくなる場合はありますが、言い切ることはできません。市区町村の扱いや、住民税以外のきっかけもあります。勤め先の就業規則を確かめたうえで、市区町村の窓口に確かめてください。
申告したあとで、普通徴収に変えたいときはどうしますか?
住民税の計算が終わる前なら、市区町村の窓口に相談すると対応してもらえることがあります。できるかどうか、どの時期までかは市区町村ごとに違うので、早めに問い合わせてください。
メルカリで不用品を売っただけでも関係ありますか?
自分の生活用品を売っただけなら、課税されないことが多いとされています。ただ、仕入れて売る場合や、続けて売っている場合は扱いが変わることがあるので、税務署か税理士に確かめてください。
まとめ
副業の物販の住民税は、確定申告書の住民税の欄で「自分で納付」を選ぶと、普通徴収にできる場合があります。
要点は次のとおりです。
- 対象は給与・年金以外の所得の分だけで、アルバイトの給与は含まれない
- 何も選ばないと、給与から差し引く扱いになることが多い
- 市区町村の扱いで、希望どおりにならないことがある
- 普通徴収にしたら、納付書の期限は自分で守る
- 副業をしてよいかは、まず勤め先の就業規則で確かめる
今日からやること
- 勤め先の就業規則で、副業の決まりを読む
- 各モールの管理画面で、売上と経費の記録をそろえ始める
- 前に出した申告書の控えがあれば、第二表の住民税の欄を見直す
- 住んでいる市区町村の住民税の担当窓口の連絡先を調べておく
住民税の納め方は、申告書の小さな欄で決まります。出す前の見直しと、出したあとの確認を習慣にしてください。


