ECで大切な法律3つ(特商法・薬機法・景表法)をやさしく解説

目次

ネットショップ運営に法律はなぜ大切?

初心者でも知っておきたい「法律違反」のリスク

ネットショップを運営するうえで、法律を知らないまま販売を続けるのはとても危険です。たとえ悪気がなかったとしても、法律に違反してしまうと、行政から指導を受けたり、最悪の場合は罰金や営業停止といった重いペナルティが課されることもあります。

特に個人で運営していると、「ちょっとくらい大丈夫だろう」と思いがちですが、実際は小さなショップでも厳しくチェックされるケースが増えています。また、一度でも違反が発覚すると、信用を失ってお客様が離れてしまうリスクもあるのです。

だからこそ、初心者のうちから「最低限これだけは守ろう」というポイントを知り、安心してショップを運営できる土台を作ることがとても大切です。これから紹介する3つの法律は、どれも基本中の基本。難しい専門用語はなるべく使わず、やさしく解説していきますので、安心して読み進めてくださいね。

安全なショップ運営のために最低限押さえたい3つの法律

ネットショップ初心者がまず押さえておきたいのは、次の3つの法律です。

  • 特定商取引法(特商法)
  • 景品表示法(景表法)
  • 薬機法

これらはすべて「お客様を守るため」の法律です。言いかえると、「お客様をだまさない」「誤解させない」ためのルールが決められているんですね。

たとえば特定商取引法は、ショップの運営者情報や返品ルールをきちんと表示することを義務づけています。景品表示法は、商品説明で「絶対に効果あり!」などと誇大表現をしないように決めています。薬機法は、健康にかかわる商品を販売する際に、効果効能をうたう表現を厳しく制限しています。

これら3つの法律を守っていれば、ショップの信頼感もぐんとアップし、安心してお客様に商品を届けることができます。
それでは、それぞれの法律について、もう少し具体的に見ていきましょう!

特定商取引法とは?初心者向けにポイント解説

特定商取引法で必ず表示しなければならない項目

ネットショップを始めたら、**特定商取引法(特商法)**に基づく表示が必須です。これは、お客様が安心して買い物できるようにするためのルール。ショップのトップページや、よく見える場所にきちんと載せておく必要があります。

必ず表示しなければならない主な項目は、以下の通りです。

  • 販売業者名(個人なら氏名)
  • 運営統括責任者名
  • 所在地
  • 電話番号(メールアドレスもあると安心)
  • 商品代金以外の必要料金(送料や手数料など)
  • 引き渡し時期(発送までの日数など)
  • 支払い方法と支払い時期
  • 返品・交換についての条件

これらが漏れていると、いざというときに「誰に連絡すればいいの?」とお客様を不安にさせてしまいます。BASEやSTORESなどのネットショップ作成サービスには、特商法表示のテンプレートが用意されていることも多いので、ぜひ活用してみましょう。

初心者がつまずきやすい注意点とは?

特定商取引法に沿った表示をするうえで、初心者がつまずきやすいポイントもあります。特に注意したいのが次の2つです。

1. 住所や電話番号を隠したくなる問題
「自宅の住所や電話番号をネットに載せるのが怖い」と感じる人は多いです。しかし、特商法では原則として正しい情報を公開する義務があります。どうしても抵抗がある場合は、バーチャルオフィスを契約して住所を借りたり、専用の電話番号を取得する方法も検討しましょう。

2. 返品・キャンセル条件をあいまいにしないこと
「基本的に返品不可です」だけでは不十分な場合があります。返品を受け付けない理由や、例外的に返品可能なケース(商品に不備があった場合など)を明確に書いておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

この2点は見落とされがちですが、しっかり対応しておくことで、お客様からの信頼を得ることができるでしょう。

景品表示法とは?「効果あり」表現で気をつけたいこと

「効果あり」はNG?景品表示法の基本ルール

ネットショップの商品ページで、「これを使えば必ずきれいになります!」といった強い表現を使いたくなることってありますよね。でも、**景品表示法(景表法)**では、実際よりも商品がすごいように見せる「優良誤認表示」を禁止しています。

たとえば、以下のような表現は要注意です。

  • 「飲むだけで絶対に痩せます」
  • 「これを使えば確実に肌が若返ります」
  • 「99%の人が効果を実感!」

こうした「効果あり!」と断言する表現は、根拠(データや実験結果)がない限り使ってはいけません。もし掲載するなら、効果には個人差があることや、条件をきちんと説明する必要があります。

初心者でも、「言い切り表現はできるだけ避ける」「お客様に誤解を与えない説明を心がける」という基本を押さえておけば、トラブルを防ぎやすくなりますよ。

違反するとどうなる?実際の罰則例

景品表示法に違反すると、どんなペナルティがあるのでしょうか?実は、かなり厳しい処分が待っています。

まず、行政から**「措置命令」**という命令が出されます。これは「誤解を招く表示をすぐにやめなさい」と命じるものです。措置命令を受けると、その内容が公表されるため、ショップやブランドの信用が大きく傷つきます。

さらに悪質な場合は、課徴金(かちょうきん)といって、売上の一部を支払わなければならないこともあります。場合によっては数百万円単位になることもあり、個人ショップにとっては大打撃です。

実際に、サプリメントを販売していた小さなネットショップが「効果あり」と断言する広告を出してしまい、措置命令と高額な課徴金を科された例もあります。

このようなリスクを防ぐためにも、商品の効果や品質を誇張しない、誠実な表現を心がけることが大切です。お客様の信頼を守るためにも、焦らずコツコツと丁寧に情報発信していきましょう。

薬機法とは?商品説明に潜む落とし穴

薬機法に違反しない商品説明とは?

薬機法(旧・薬事法)は、医薬品や化粧品、健康食品などに関する広告を厳しく規制する法律です。ネットショップでも、商品説明文に気をつけないと、知らないうちに違反してしまうことがあります。

薬機法に違反しないためには、次のポイントを押さえましょう。

  • 医薬品のような表現をしない
     たとえば、「このクリームでシミが消える!」といった表現はNG。医薬品のような効果効能をうたってはいけません。
  • 体に変化が起きるような表現を避ける
     「これを飲むだけで脂肪が落ちる」「すぐに免疫力アップ!」など、体に直接変化が出ると受け取れる表現は、基本的に使えません。
  • 効果をほのめかす言い回しにも注意
     「これを塗ったらハリが出た気がするかも♪」といった、やんわりとした表現でも、商品によっては薬機法違反になる場合があります。

「ちょっとくらい大丈夫」と思わず、言葉選びには慎重になりましょう。迷ったときは、「商品そのものの特徴だけを伝える」と意識すると安全です。

どんな商品が薬機法の対象になる?

薬機法は、特定の商品に対して特に厳しくルールを設けています。対象になるのは、次のような商品です。

  • 化粧品(スキンケア商品、メイク用品など)
  • 健康食品(サプリメント、酵素ドリンクなど)
  • 医療機器(マッサージ器、温熱機器など)
  • 医薬部外品(育毛剤、制汗剤など)

これらの商品を扱う場合、商品説明文や広告で「病気が治る」「体調が良くなる」といった表現を使うと、薬機法違反になります。たとえば、ただのハンドクリームでも「傷が治る」と書くとアウト。あくまで「肌を保湿します」「乾燥を防ぎます」といった、事実だけを伝える表現にとどめましょう。

また、健康食品も「ダイエット効果あり!」などと断言してはいけません。「栄養を補助する食品です」など、控えめな説明にすることが大切です。

自分が販売する商品が薬機法の対象になるかどうか、一度しっかり確認しておくと安心ですね。

初心者が守るべき“3つの注意点”まとめ

3つの法律を守って安心できるショップ運営を目指そう

ここまで、ネットショップ運営で大切な3つの法律についてやさしく解説してきました。最後に、初心者がまず意識すべきポイントをまとめます。

  1. 特定商取引法
     → ショップ情報(住所や電話番号、返品ルールなど)を正しく、わかりやすく表示しよう。
  2. 景品表示法
     → 商品の魅力を伝えるときは「言いすぎない」。効果を保証するような表現は避けよう。
  3. 薬機法
     → 化粧品や健康食品を扱うときは、医薬品のような効果効能をうたわないように注意しよう。

最初は少し難しく感じるかもしれませんが、「これだけは守る!」という基本を押さえれば、法律違反のリスクを大きく減らすことができます。そして、なにより安心してネットショップ運営を続けることができます。

焦らず、一歩ずつ、正しい情報を積み重ねていきましょう。
あなたのショップが、たくさんのお客様に信頼される場所になりますように!

この記事を書いたひと

個人事業主としてEC販売やリサーチ業務に携わり、5年以上にわたりAmazonでの販売経験を持ちます。年商約6,000万円の実績を活かし、現在はライティング分野でも情報発信を行っています。業務効率化や新しい挑戦にも意欲的に取り組み、日々スキルアップを目指しています。
生活に役立つ情報や、現場で得たリアルな知識をわかりやすくお届けします。

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