1. 導入(現場のリアル)
月商は2,000万円。
RPPも回している。スーパーSALEも走らせている。
売上は作れている。
それでも、なぜか利益が薄い。
広告費は毎月300万〜400万。
ROASは一見悪くない。
でも営業利益率は5〜8%で頭打ち。
セールを止めれば売上が落ちる。
広告を止めれば順位が落ちる。
つまり、止められない。
この状態は“成長”ではありません。
“依存”です。
中級者〜上級者が次に超えるべき壁は、
広告で売上を作るフェーズから、
広告を“設計して使う”フェーズへの移行です。
2. 市場構造の変化
楽天市場は明確に「売上実績重視型アルゴリズム」です。
検索順位は、
・直近売上
・CVR
・レビュー更新
・価格競争力
・広告売上実績
これらの複合で評価されています。
つまり広告売上も検索評価に影響している可能性が高い。
その結果、
広告 → 売上増加 → 順位上昇 → 自然流入増
という好循環が起きます。
しかし同時に、
広告停止 → 売上減速 → 順位下落 → 自然流入減
という逆回転も起きる。
この構造の中で、多くの店舗が広告を“止められない装置”にしてしまっています。
問題は広告ではありません。
広告設計です。
3. 本質的ボトルネック
売上が伸び悩む最大の理由は、
広告を“売上装置”として使っていることです。
広告には3つの役割があります。
- 露出拡大
- 売上速度加速
- ランキング押し上げ
しかし多くの店舗は、
単に「足りない売上を埋める装置」として使っています。
その結果、
・広告比率20%超
・値引き常態化
・利益率低下
・キャッシュ圧迫
が起きます。
よくある誤解は、
「ROASが合っていれば問題ない」
違います。
ROASは売上指標です。
見るべきは営業利益率です。
広告経由売上の粗利が残っているか。
広告停止後も順位が維持できるか。
ここを見ない限り、
規模が大きくなるほど苦しくなります。
4. 構造的打ち手
【やること】
広告依存比率をSKU別に可視化する
【構造的な意味】
全体ROASではなく、商品単位で広告依存度を把握する。
広告売上が全体の何%かを知ることで、実力順位かどうかが分かる。
【利益へのインパクト】
広告依存比率40%の商品を25%に下げられれば、
広告費率が5%改善。
月商2,000万規模なら年間数百万円単位で利益差が出る。
【実行時の注意点】
売上上位5SKUに限定して分析する。
【やること】
短期集中型広告投下で順位を押し上げる
【構造的な意味】
広告は常時回すものではなく、
売上速度を加速させる“ブースター”。
【利益へのインパクト】
CPC80円、CVR4%、CPA2,000円。
粗利2,800円なら利益800円。
順位上昇で自然流入が15%増えれば、
広告費率を下げても売上維持可能。
【実行時の注意点】
期間を決める。惰性運用しない。
【やること】
広告停止テストを実施する
【構造的な意味】
自然順位の実力を測る。
広告停止後も売上が維持できる商品は“育った商品”。
【利益へのインパクト】
広告費月300万のうち50万削減できれば、
営業利益率は一気に改善。
【実行時の注意点】
主力SKUでいきなりやらない。
準主力でテスト。
【やること】
値引きを広告代替として使わない
【構造的な意味】
値引きはCVRを上げるが粗利を削る。
広告削減分を値引きで補填すると利益は改善しない。
【利益へのインパクト】
5%値引きでCVR20%増でも、
粗利率が削られれば総利益は横ばい。
【実行時の注意点】
値引きは“売上速度調整装置”として限定使用。
【やること】
LTV基準で広告許容CPAを再設計する
【構造的な意味】
単発粗利で広告判断すると攻められない。
LTVが1.3倍なら許容CPAも1.3倍にできる。
【利益へのインパクト】
リピート率20%向上で、
新規獲得の利益回収期間が短縮。
【実行時の注意点】
RMS顧客分析でリピート周期を把握する。
5. 数字で見る改善シミュレーション
前提:
月商2,000万
粗利率35%
広告費率18%
営業利益率7%
改善後:
広告費率18%→14%
自然流入10%増
CVR4%→4.5%
結果:
売上2,000万→2,300万
広告費360万→322万
粗利700万→805万
営業利益140万→280万超
売上は15%増。
利益は100%増。
広告削減=売上減ではない。
設計変更=利益増です。
6. 実務チェックリスト(上級者用)
・SKU別広告依存比率を把握しているか
・広告停止テストを行ったことがあるか
・自然順位を週次で追っているか
・広告比率の目標値を設定しているか
・値引き率を管理しているか
・LTVを算出しているか
・主力SKUに売上集中しているか
・広告経由CVRを把握しているか
・在庫欠品率を確認しているか
・広告費を“投資”として設計しているか
7. 経営視点まとめ
広告は悪ではない。
設計なき広告が問題。
売上を作るのは簡単。
利益を残すのは設計。
短期売上より、
再現性ある利益構造。
広告を回す店舗ではなく、
広告を“動かせる”店舗になる。
楽天は売上競争の市場ではない。
構造設計の市場です。
ここを越えられるかどうかで、
月商3,000万の壁は決まります。

