「やばい…クレームきた」。
健康食品のECサイトを運営していた頃、メールに届いたお客様からの“お叱り”に、手が震えたことがあります。「届いた商品が違う」「賞味期限が短い」「梱包が雑」…。もちろんすぐに謝罪文を打とうとするんですが、「ごめんなさい」のあと、どう続けていいのか迷ってしまう。
でも今は、クレームが「リピートに変わるチャンス」にすら思えるようになりました。
この記事では、私自身の経験から学んだ“やさしいクレーム対応文の考え方”を、わかりやすくお伝えします。
1. 「ごめんなさい」のあとに、まずは“共感”を添える
よくあるのが、「ご迷惑をおかけし申し訳ございません」という形式的な謝罪文。間違ってはいません。でも、それだけだと冷たく見えてしまうこともあります。
私が意識しているのは、「お客様の気持ちに寄り添う一言」を添えること。
たとえばこんなふうに:
このたびはご期待に添えず、残念なお気持ちにさせてしまったこと、本当に心苦しく思っております。 |
クレームを送るお客様の多くは、「怒っている」のではなく「困っている」んですよね。だから、まずは「あなたの不快に感じた気持ち、ちゃんと受け取りましたよ」という姿勢を見せることが大切です。
→形式的な文より“共感”の気持ちを乗せるのがカギ
2. 丁寧すぎず、でも信頼感のある“言葉づかい”を選ぶ
「このたびは~」「誠に~」「ご不快の念をおかけし~」…文章がかしこまりすぎて、逆に距離を感じたこと、ありませんか?
私が返信文を書くときに気をつけていたのは、「信頼感を保ちながらも、少しやわらかい表現」にすること。
例:
×ご不快の念をおかけし誠に申し訳ございません。○ご不快なお気持ちにさせてしまい、大変申し訳なく思っております。 |
少しの言い回しの違いで、「人が書いてる」感じが出るんですよね。機械的な文面より、“あなたのために書いています”という空気を大事にしていました。
→「丁寧=かたすぎる」ではなく「やわらかく誠実」が好印象
3. 伝えるべきは「原因」より「次どうするか」
昔の私は、つい「なぜミスが起きたか」を詳しく説明しがちでした。誠実に思えたんです。でも、ある時お客様にこう言われました。
「原因はどうでもいい。ちゃんと対応してもらえるかが知りたいの」
ハッとしました。そこからは「再発防止策」「今後の対応」「何をお約束できるか」を中心に書くようにしています。
たとえば:
今回の件を社内で共有し、同様のミスが起こらないよう、二重確認の体制を整えました。また、今回のお詫びとして●●をご送付させていただきたく存じます。 |
「対応力がある店だ」と思ってもらえれば、信頼につながります。
→「次にどうするか」を示すとお客様の不安がやわらぐ
4. クレーム対応は“未来のお客様”との約束でもある
クレームをくれた方への返信って、「今のやりとり」だけで終わるものではないと感じています。
その文面は、未来のお客様にもつながるんです。
以前、「丁寧に対応していただいたので、また注文しました」というメッセージをもらったことがありました。
それ以来、返信メールも「ブランドの声」と思って書くようにしています。
たとえば:
数あるショップの中から当店をお選びいただいたのに、残念なお気持ちにさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。いただいたご意見を活かし、より信頼いただけるお店を目指してまいります。 |
こうした積み重ねが、ブランドへの信頼感を育ててくれるのだと思います。
→「クレームの返信=レビュー対策」と思って書くと自然と気持ちが込められる
5. テンプレより“自分の言葉”を混ぜてみる
テンプレートも便利ですが、それだけだと冷たく感じることもありますよね。
だから私は、テンプレート+自分の言葉を1〜2文だけでも加えるようにしていました。
たとえばこんな感じ:
本日、実際に商品を確認しながら梱包の手順を再チェックしました。私自身もこの商品を愛用しており、大切に届けたい気持ちは変わりません。 |
こうした“人の温度”が伝わる一言って、案外印象に残るみたいです。
→「テンプレ+αの一言」で“人”の存在が伝わる
注意点:焦って返信しない。まず“深呼吸”を
クレームが来ると、すぐに返信しなきゃ!と焦ってしまいますよね。私も何度もやらかしました。
でも、大切なのは「感情で書かないこと」。一度深呼吸して、冷静に内容を読みましょう。
返信前にチェックしたいポイント:
・事実確認はできているか ・お客様が本当に求めているのは何か(返金?交換?説明?) ・自分がその立場ならどう感じるか |
→感情的になると誤解や二次トラブルを生む原因に
まとめ:やさしい言葉が、お客様の心に届く
「クレーム対応ってしんどい」——そう感じていた私も、今では“ありがたい機会”だと思えるようになりました。
やさしい言葉、ちょっとした気づかい、丁寧な返信。
それらは確実に、お客様との距離を縮めてくれます。
クレームメールに「ごめんなさい」と返信する日が来たら、ぜひ今日お話しした考え方を思い出してください。
大切なのは、“ただ謝る”のではなく、“信頼を取り戻す言葉”を選ぶこと。
あなたの対応が、未来のファンをつくる第一歩になりますように。
参考データ一覧
・国民生活センター「クレーム・苦情相談の動向」
・中小企業庁「顧客対応の基本」
・JCSI「日本版顧客満足度指数」