ブランドの“世界観”ってどう作る?言葉と写真で伝える5つの工夫

「どの商品も良さそうに見える時代。だからこそ“あなたのお店”にしかない空気感を伝えることが大切なんです」

これは、私が健康・美容食品のECサイトを運営していたときに、あるデザイナーさんから言われたひと言です。当時の私は「商品の質」や「価格」ばかりに目がいっていて、“世界観”なんてふんわりした言葉には正直ピンと来ていませんでした。

でも、ある日ふと気づいたんです。

同じような商品を扱っているショップがたくさんあるのに、なぜあのショップだけファンがいるんだろう?」と。

それから私は、“ブランドの世界観”という言葉の意味を考えるようになりました。世界観は決して抽象的なものではなく、「伝え方」の積み重ねでした。そしてそれは、写真や言葉、色使いやトーンなど、小さな工夫の積み重ねでつくっていけるんです。

この記事では、私が実際に試して効果を感じた「言葉と写真で世界観を伝える5つの工夫」をご紹介します。

小さな工夫が、お客様との大きな信頼につながりますよ◎

目次

1. 写真は“雰囲気”も売っている

商品画像=商品の形や質感を伝えるもの、と思っていませんか?

もちろんそれも大切ですが、それだけでは「世界観」は伝わりません。

私が意識したのは、商品を「どう見せるか」。

たとえば、美容サプリを販売していたときは、

・朝のやさしい光の中で、ナチュラルな木のテーブルに置いたカット
・コーヒーや雑誌と一緒に写して、“自分時間”を想像できる構図

こんなふうに、暮らしの中でその商品がある風景を想像させる写真にこだわりました。

→ただの“置き撮り”から“暮らしの中のワンシーン”へ視点を変えると、印象がガラリと変わります。

実際に、写真を変更してから「雰囲気が素敵ですね」「朝のルーティンに取り入れたくなりました」といったレビューが届くようになりました。

2. 「説明」ではなく「ストーリー」で語る

“商品の特徴”ばかりを並べても、お客様の心にはなかなか響きません。

特に初見のお客様は「数字」より「共感できる物語」に惹かれる傾向があります。

あるとき、私はサプリのページに「開発の裏側ストーリー」を入れてみました。

きっかけは、仕事に追われる30代の友人から「疲れていても肌をキレイに見せたい」という相談でした。忙しい日々の中で、無理なく続けられるサプリを作ろうと決めたのです。

こうしたストーリーは、「この商品を選ぶ意味」を届けてくれます。

特に日本人は“共感消費”の傾向が強いと言われていて、背景にある想いや物語に心を動かされることが多いんです。(参考:電通「ジャパンブランド調査2023」)

3. トンマナ(トーン&マナー)を決めて統一感を

「どんな色を使うか」「言葉づかいをどうするか」は、世界観づくりの大事な要素です。

私はブランドのターゲットを「忙しくてもキレイでいたい30〜40代女性」と設定していたので、

・色:ベージュやくすみピンク、グレーなどやわらかい色味
・フォント:明朝体をベースに、やさしさを出す手書き風フォントを見出しに
・言葉づかい:「〜しましょう」「〜ですよ」など、やさしく寄り添う語り口

というようにトンマナを統一していました。

→「統一感がある=安心感がある」。買い物中の心理的ハードルを下げることにもつながります。

見た目の統一感があるだけで、訪れたお客様に「ここ、なんだか落ち着くな」と感じてもらえるようになります。

4. SNSでも“らしさ”をブレずに発信

世界観はECサイトの中だけじゃなく、SNSでも育てていけます。

SNSは“ブランドの素顔”を見せる場所。完璧より“親近感”がカギです。

私の場合、Instagramでは“映え”よりも“等身大”を意識。実際に使っている様子や、ユーザーの声をナチュラルに載せていました。

たとえば、

・サプリを持って「今日も1日おつかれさま」の投稿
・実際のレビューに共感コメントを添えて紹介

というように、“ブランドの声”として発信していたんです。

投稿のテンプレも決めておくとラクでした↓

→背景色は白、文字の配置は左下固定、ハッシュタグは固定化(#今日のキレイ習慣 など)

5. 商品以外の“世界観コンテンツ”も育てよう

実は一番効果を感じたのが、商品とは直接関係ないコラムや読み物コンテンツ。

・「おやすみ前のリラックス法」
・「心が疲れた日のセルフケア」

こんな内容の記事を、ブランドサイトに週1回更新していました。

お客様から「読むのが楽しみです」とDMをもらったときは、本当にうれしかったです。

→「読みもの」=検索流入にも強いのでSEO対策にも◎

共感される=選ばれる」時代。

世界観は、“共感コンテンツ”を通じて深まっていきます。

注意点:作り込みすぎない“余白”も大切に

世界観づくりは楽しい作業ですが、気をつけたいのが「作り込みすぎること」。

・写真がキレイすぎてリアルさがなくなる
・言葉がポエムっぽくなって伝わりにくい
・投稿が“キレイすぎて距離を感じる”

そんな声をもらったこともあります。

あくまで「あなたと話しているような近さ」が大事。

→完璧より「ちゃんと伝えたい」が見える方が、ファンはつきやすいです。

“ちょっと不器用でも、まっすぐ届けようとしている感じ”が、お客様に響くこともあるんです。

まとめ:世界観は「お客様との心の距離」を縮めてくれる

“世界観”って聞くと、難しそうに思えるかもしれません。

でも実際は、小さな工夫の積み重ねです。

・写真で「空気感」を伝える
・言葉で「ストーリー」を語る
・トンマナで「統一感」を出す
・SNSで「らしさ」を発信する
・読み物コンテンツで「共感」を生む

こうした工夫をコツコツ続けることで、ただの商品紹介では届かなかった“心の奥”に届くようになります。

そして、お客様との関係は「一度きりの買い物」ではなく、「信頼を重ねる関係」へと変わっていくはずです。

今日からできること、ひとつだけでも取り入れてみませんか?

あなたのブランドらしさが、きっと誰かの毎日をやさしく彩ります。

【参照データ】

・電通「ジャパンブランド調査2023

・LINEリサーチ「SNSと共感消費の関係性

この記事を書いたひと

Webライターとして活動しながら、ECサイトの運営経験を活かして、売上アップにつながる記事や商品ページの作り方を発信しています。伝わりやすい言葉の使い方や、購入につながるページ設計など、初心者の方にも実践しやすいノウハウをわかりやすく紹介。ライターならではの視点で、EC販売のヒントをお届けします。

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